性格、性格分析、性格類型、プーチン、小室圭、明智光秀、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、ゴッホ、水原一平

2025年3月25日火曜日

「性格」から見たドナルド・トランプ(2)—彼は「ソシオパス」なのか—

  はじめに 

 前の投稿では、ドナルド・トランプの「心性」(行動や考え)が、ヤクザのそれと極めて類似していることについて述べました。

 今回は、そもそも、ヤクザの心性」なるものは、どのようなものかについて明らかにし、そこからトランプの「性格」を読み解いていきたいと思います。

 そして、米国大統領としてのドナルド・トランプによって、どのような世界が生み出されるのか、可能な範囲で推察してみたいと思います。





 ヤクザの「心性」とは 

 ここで、彼の著書で向谷氏が描いている「ヤクザ」の典型的な行動様式について、箇条書きにしてみます。


  • 言葉や態度で「威圧」し、「恐怖心」を植え付け、相手をコントロールする
  • 自らの「利益」のみを求め、相手の利益や感情をまったく気にかけない
  • 「倫理感」や「順法精神」に欠ける
  • 平気で相手をだます、「嘘」をつく
  • 相手が頼ってくるよう、力や金があることを見せつける


 このような行動様式からは、「攻撃性」、「自己中心性」、「共感性の乏しさ」、「社会の規律に対する順守精神の欠如」、「人を操作しようとする志向性」といった、彼らの独特な「心性」が見えてきます。

 これらの心性は、一般的には、「反社会的」と呼ばれる心性であり、精神医学的には、「社会病質性(ソシオパシー)」と呼ばれ、それは、現在の精神医学の診断基準にある、「反社会的パーソナリティ障害(antisocial personality disorder)」と、ほぼ同義であると考えられています。

 

 反社会的パーソナリティ障害とは 

 反社会的パーソナリティ障害(以下、ASPDと略す)は、精神障害の診断基準である「DSM-Ⅴ」「ICD-10」では、次のように記載されています。


 ICD-10

  • 社会的規範、規則、責務を無視する持続的な態度
  • 他者の感情への無関心さ
  • 人間関係を築くことはできるが、その維持ができないこと
  • フラストレーションに対する耐性の低さ
  • 暴力を含む攻撃性の発散に対する閾値の低さ
  • 罪悪感を感じることや、経験から学ぶことができないこと
  • 他者を非難したり、社会と衝突を引き起こす行動を合理化したりする傾向


 DSM-Ⅴ

  •   種々の犯罪行為を通して、他者の権利や法律を軽視する。

  •   自らの欲するもの(金,権力,セックス)を手に入れるため人を欺き,利用し,言いくるめ,操作する。

  •   衝動的で,前もって計画を立てることがなく,自らや他者の「行動の結果」や、その「安全」を顧みない。

  •    しばしばすぐに怒り,身体的攻撃性を示す。

  •    自らの行動に対する後悔の念がない。その代わり、他者を責めることで、自分の行動を合理化する。彼らは人の意に従うことを嫌い,自分にとっての最善のみを考える。

  •    他者に対する共感に欠け,他者の感情,権利,および苦しみを馬鹿にしたり,それらに無関心であったりする。

  •   自己評価が過剰に高い傾向があり,独断的で、傲慢である。ただ、欲しいものを得るためには、感じよく、能弁に話す。

 

 トランプ=「ソシオパス」説 

 ハーバート大学メディカルスクールの元准教授で、精神分析医であるランディ・ドーデスは、2019年、執筆した本の中で、ドナルド・トランプには「社会病質」の心性があると述べています。

 彼は、過去の公式の記録を参照して、彼の「社会病質」的な心性について、次の点を挙げています。

1.他者に対する共感性の欠如、良心の呵責の欠如、嘘をつき、人をだますこと

2.現実認識の欠如

3.攻撃的な対応、衝動性

 ドーデスは、「ドナルド・トランプの発言と行動は、彼には重篤な社会病質的特性があることを示している」と結論づけ、その特性は、「アメリカの民主主義と安全にとって深刻な危険を生み出す」と警告しました。


 また、トランプの姪(長兄の娘)である心理学者のメアリー・トランプは、その著書の中で、ドナルド・トランプには、「都合が悪い状況で、嘘をつく」、「(子供時代での)人をいじめる、人を責める、責任を取らない、非を認めない、目上に敬意を払わない、他人への暴力などの、数多くの問題行動」、「自分をよく見せること、嘘をつくこと、巧妙にごまかすことといった“特技”」、「何でも知っている、なんでもできるといった大言壮語的な言動」といった性向があり、「彼は反社会性性格障害の診断基準にもあてはまっている」と述べています。

 さらに、トランプの父であるフレッド・トランプは、家庭の中では「暴君」としてふるまい、「冷淡」で「人らしい感情に欠け」、家族には「無関心」である一方、「厳格で融通が利かず」「支配的」であったと述べ、彼もまた、「社会病質者」だったとしています。


 トランプはASPDなのか? 

 トランプの心性が「ヤクザ」のそれと類似しており、「ヤクザ」には、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の心性があるとすれば、トランプがASPDである可能性は高いと考えられます。

 ただ、「パーソナリティ障害」と診断されるような人たちの多くは、その「障害」のため、社会的に適応できない人たちです。ちなみに、ASPDの人たちの多くは、法を冒すことで、刑務所の中にいるような人たちなのです。

 その点で、トランプは、有罪判決を受け、受刑者となる可能性はあったとしても、結果的に、社会的には成功しており、「パーソナリティ障害」と診断するのは適切ではないかもしれません。ただ、ASPDの心性を数多く持っている点を考慮に入れれば、「軽症」のASPDということができると考えられます。

 ASPDはどのようにして生まれるのか 

 ASPD(反社会性パーソナリティ障害)についての最新の論文検討では、「ASPDには強い遺伝的な背景があり、その比率は51%に及ぶ」とのことです。ただ、ASPDの親による劣悪な養育環境からの影響も、そこには加味されなければならないとされています。

 また、養育環境が劣悪で、思春期のみに反社会的傾向が限定されている人たちに比べ、犯罪者傾向が一生を通して続いている人たちの方が遺伝との関連性が高いとされています。(モフィット理論)

 トランプの場合、父親もまたASPDである可能性があり、トランプの反社会的傾向も、子ども時代から現在にまで続いているものであり、遺伝性の可能性があると考えられます。


 ASPDであるトランプが生み出す世界とは? 

 一次政権と異なり、トランプ二次政権内の部下たちはすべてトランプの言いなりとなる人たちであり、その点で、現政権の政策や活動は、トランプの「性格」の影響を色濃く反映したものになると考えられます。

 そのトランプが、大統領就任後、すぐに始めたことは、ガザとウクライナでの戦争行為を停止させる試みです。

 ただ、その考えは、そもそも彼の「個人的な満足に基づくものであり、また、「衝動的」なもので,前もって計画を立てることがなく、理念もないものなので、彼の考えた「結果」には終わらない可能性が高いと考えられます。

 また、諸外国の首脳と真の意味で「親密な関係」を築くことができず、また、他者と協力することができないトランプに取り、各国の複雑な利害関係を調整し、紛争を解決に導くような「外交」はできないと考えられます。

 たぶん、独り善がりに、「踊り、歌い」、結果、すべてうまくいかなくなると、トランプはその失敗を他人のせいにして、すべてを投げ出してしまうでしょう。

 失敗から学ぶことのできないトランプには、戦争を終わらせることはできないと考えます。

 次に、トランプは外国からの輸入品に「高関税」を課すという経済政策を実行に移しています。

 こうした、「自国の利益のみを追求する国内企業の保護政策も、他国の反発を招くだけでなく、世界経済がグローバル化してしまった現在において、世界経済を混乱に陥れ、世界的な「景気減速」と国内の「インフレ」をもたらすだけに終わる可能性があります。

 ただ、その「結果」をトランプは受け入れようとせず、嘘で言い逃れるか、他人に責任を押し付けようとするかもしれません。

 このようなトランプが率いる米国は「世界のリーダー」とはなりえず、トランプ在任中は、米国の代わりに、EUや日本などの西側社会が結束し、できれば、インドやブラジルなどのグローバルサウスの国々と連携することで、世界をまとめていかざるを得ないかもしれません。


【参考文献】

Lance Dodes : Sociopath,  in 「The dangerous case of Donald Tramp」,  (edited) Bandy X. Lee,  New York, 2019.

メアリー・トランプ : 「世界で最も危険な男—“トランプ家の暗部”を姪が告発-」, 草野薫、菊池由美ほか訳、小学館、2020.

Black, WD : Update on antisocial personality disorder, Curr Psychiatry Rep.26,10 ; 543-549, 2024.

Andrea, L. Glenn : Antisocial personality disorder- A current review, Curr Psychiatry Rep. 15,12 ; 427, 2013. 


志村宗生:「ことばのクスリ—薬に代わるこころのケア—」
志村宗生:「性格と精神疾患—性格類型によるその診立てと治療—」



 


2025年1月12日日曜日

「性格」から見たドナルド・トランプ(1)—「ヤクザ」の心性との類似点—

 はじめに 

 4年前にトランプがバイデンに選挙で敗れ、しかも、議事堂襲撃を扇動した疑いで起訴された時、そんな「横暴」で「自己中心的」なトランプが大統領に返り咲くことはまずないだろうと、大方の人は、そう考えたのではないでしょうか。

 その「予想」に反して、トランプが選挙に勝利し、2025年1月から米国の大統領になったわけですが、そうなったからには、その現実を直視し、彼が大統領として何を考え、何を行い、それが世界にどのような影響を与えるのか、冷静に分析するべきだと考えます。

 それに関して、私は、トランプの考えや行動が、日本の「ヤクザ」に類似するという観点から、それらを読み解いていきたいと考えます。




            AFPBB News より借用)



 ドナルド・トランプと「ヤクザ」の類似点 

1)「こわもて」に見えて、暴力を使うことは稀

2)「こわもて」や「大物」に見せるよう「演出」する

3)こわもてやハッタリを利用しつつ、利益を得る

4)損得でしかものごとを考えない

5)他者への責任感がない

6)票(稼ぎ)のにおいをかぎつけることがうまい


 1)「こわもて」に見えて、暴力を使うことは稀 

 「ヤクザ」と聞くと、一般の人たちは、傷害事件を起こすような「凶悪」で「粗暴な」人たちをイメージするのではないかと思います。でも、参考文献の著者である向谷氏は、意外にも、「暴力の行使を一番恐れているのは、実は、彼ら(ヤクザ)自身なのである」と述べています

 なぜなのでしょうか。

 現在では、特に「指定暴力団」の組員は、重大事件で逮捕されると、重い懲役刑が科されます。恐喝などの軽い事件でも、繰り返せば、なかなか出所することができなくなります。以前は、それで「箔」が付き、「務め」を終えると幹部として迎えられる時代もあったとのことですが、今は、違うと向谷氏は述べてます。今は、刑期を終えた時、戻る組が解散してしまっていることさえある時代だとのことです。さらに、組同士の抗争による事件は、警察の介入を許す口実を与えることになり、組織の弱体化につながりかねません。

 ところで、政敵にやたらと噛みつき、また、交渉相手を威圧するような、「こわもて」な印象のあるトランプですが、彼は、一期目の大統領の在任中、ほとんど、外国への武力行使を行ってはいません

 米国のドローンをイランが撃墜したことのへの報復として、イラン国内の軍事施設への攻撃が計画されましたが、その実施寸前で、トランプは攻撃停止を命じたとされています。彼は、その後の「報復合戦」といった、軍事行動のエスカレーションを怖れたのかもしれません。

 また、シリアの化学兵器使用への制裁処置として、シリアへの攻撃が計画された時も、シリアに駐l留するロシア軍に攻撃を事前に通知したとされています。これも、ロシアとの係争に発展するリスクを避けたかったためとされています。

 トランプも、「ヤクザ」と同様、武力(暴力)の行使は、割に合わず、「損」だと考えているのではないでしょうか。武力行使には、多額の「戦費」が必要となり、それで米国が得る、利権などの実質的な「利益」は少ないからです。それどころか、戦争が「泥沼化」すれば、国を弱体化させかねません。武力介入して、得られるのは、「民主主義の盟主」などといった名誉ぐらいなものですが、彼は、それにまったく価値を置いてないように思えます。


 2)「こわもて」や「大物」に見せるよう「演出」する 

 「ヤクザ」は、「言葉」、「風貌」、「服装」、「雰囲気」、「目配り」などで、相手を威嚇するのだと向谷氏は言います。威圧的な言葉、「こわもて」に見せるための顔貌、派手な服などで、相手に恐怖心を抱かせるような「演出」をするのだと。

 彼らがそうにするのは、そんなイメージを相手に与えることが「シノギ」をえるための、重要な手段であるからです。

 だから、ヤクザにとって、「メンツ(体面)」は命より大切なもので、「なめられたら、おしまい」なのです。




 トランプも、「体面」を非常に気にしています。自分を「大物」として認め、敬意を払う相手には機嫌がいいのですが、自分に逆らう相手をひどく嫌い、攻撃をします。彼は、自分の「顔」で、相手の指導者と外交をしているようにも見えます。


 ヤクザが演出するのは相手に恐怖感を抱かせることだけでなく、「力や金がある」、「影響力がある」と感じさせるために「演出」をするのだと、向谷氏は述べます。たとえば、ベンツなどの高級車に乗り、金無垢のオメガを身につけ、隣に美人の姐さんを置くといった「演出」です。また、高級クラブなどで派手に金を使うというのも、その演出の一つです。そのような「大物である」ように見せる演出によって、まわりが「頼りになる」、「何とかしてくれる」といった気持ちをもつようにさせるのです。向谷氏は、「ウラ社会は恐がられつつ、(ヤクザは)人気稼業」でなければならないと語っています。

 トランプも、自分を「大きく」、また、「影響力がある」ように見せるための「演出」に気を配っているように見えます。

 たとえば、ニューヨークのトランプ・タワー、自宅であるマル・アラーゴ、移動のためのプライベート・ジェット、元モデルの美人妻など、自分には、金や力があり、それを獲得するだけの能力があるといったアピールすることで、自らのカリスマ性を「演出」しています。

 また、衰退産業で働く白人労働者たちには、「関税を上げ、仕事を取り戻す」とか、不法移民におびえる人たちには、「移民を強制送還させる」など、耳障りのいい選挙キャンペーンで、自らは、「頼りがいのあり、何とかしてくれる指導者」だと思わせるように「演出」をします。

 ただ、それらの政策は、実効性に乏しく、整合性に欠けたもので、「人気取りの政策」に過ぎないのですが、それらの「演出」によって、経済的な「格差」に対して有効な策を講じることのできなかった既成の政治家にはない「力」を、特に、裕福でない白人の人たち感じさせることができたのではないでしょうか。

 

 3)こわもてやハッタリを利用しつつ、利益を得る  



 

 「ヤクザ」は、暴力という手段に訴えることなく、相手に恐怖心を抱かせる「演出」をすることで、「何をするかわからない」といった「恐怖心」を一般人にかせます。それを利用しつつ、言葉(レトリック=詭弁)で巧みに相手を操作することで、商売(シノギ)をしていると、向谷氏は述べています。

 トランプも、交渉相手に対して、突然、非常識とも思える要求を突きつけることで、「彼は何をするかわからない」といった恐怖感を相手に与えています。

 中国製品に対する60%の「関税」をはじめとする経済的な圧迫や、カナダやグリーンランドに対する領土拡大的な野心や、パナマ運河に対する利権的な要求など、大統領就任前にもかかわらず、つぎつぎと、かなり非常識と思えるような発言を繰り返います。ただ、それらは、諸外国に対する「威嚇」や「威圧」に他なりません

 ところで、向谷氏によれば、「ヤクザ」も、交渉は「無理難題から始め、小さな要求をスッと出す」、つまり、常に、王手、飛車取りを目指しているといいます。たとえば、最初、「500万借用の連帯保証人になる」ことを相手に要求し、相手がひるむと、「俺が信用できないのか」とすごみ、その上で、相手から200万の借金をするといった手口なのです。当初の要求が「ハッタリ」だとわかっていても、「ヤクザだから、何をするかわからない」という恐怖感と、巧みな交渉術により、その罠にはまってしまうのです。

 トランプも、「ヤクザ」同様、諸外国への要求がすんなり通るとは考えておらず、そのように威嚇することで、「トランプのやることは予測不能」といった恐怖心を相手に抱かせ、その上で、自分の要求が通りやすくなるようにしているのではないかと考えられます。威嚇された相手は、当初の要求が減額されたということで、「妥協するしかない」とあきらめるか、あるいは、「それだけで済んだ」と、むしろ安堵するかもしれません。

 そのような交渉手段は、向谷氏に言わせると、「ドア・イン・ザ・フェース」という、一種の心理作戦なのです。



 

 4)損得でしかものごとを考えない 

 一般社会の企業と同様、ウラ社会の「ヤクザ」も、しっかりと金を稼ぎ、組員を養い、「組」を大きくするため、日々、努力することが求められています。



 ヤクザ稼業にとって利益を得ることが一義的なことであり、彼らは、ものごとをすべて、「損得」で考えます。得になることを追い求め、損なこと、危険なことには、手を出さないのです。

 トランプも、一義的には、「損得」で政治を考えています。「ディール(取引き)」により、相手からの「譲歩」を引き出すことで、自らの満足感や自国の「益」ばかりを追い求め、「リスク」になることを避けようとしているのではないでしょうか。次の項で述べるように、彼は、政治家としての信念や政治的理念のために動くようなことは決してありません。

 

 5)他者への責任感がない  

 損得でしかものごとを考えないということは、個人的に言えば「倫理感」に欠けており、政治的に言えば、「理念」や「理想」が欠如しているということです。




 高倉健が演じたような時代の「ヤクザ」には、少なくとも、彼らを律する「義理」や「人情」といった任侠道があったと思われますが、現代「ヤクザ」には、それはなく、彼らには金や力がすべてだと考えられます。

 トランプにとっても、自分の利益や国益がすべてであるという意味において、彼の、他者に対する共感や責任感は乏しいと考えられます。

 民主主義」という「理念」も彼にとっては二の次のものであり、「地球温暖化」もまるで他人事のように見えます。共同体を維持するための「順法精神」も薄いようで、このため、4件の事案で起訴されました。また、メールなどで「虚偽」の発信をすることにも、まったく罪悪感はないように見えます。

 

 6)票(稼ぎ)のにおいをかぎつけることがうまい 

 ヤクザ」にとって、いかに多く金を稼ぐかが、もっとも重要な課題です。そのために、常に、金を儲けるための「ネタ」を探しているとされています。それを見つけにるは、動物的な「勘」が必要で、それを備えている「ヤクザ」が優秀な「ヤクザ」であるとされています。

 トランプも、「金」や「票」のにおいを嗅ぎつけることができるという点においては、名人級です。イスラエルの右派・極右政権を支持しながら、ガザの惨事に心を痛めている中東系の移民の一部の票にも手を伸ばしています。また、本来は、民主党の岩盤支持層である労働組合員や黒人層にも、うまく取り入り、票を得ています。同じグループ内にも、分断があり、それをうまく嗅ぎ取って票に変えることに関しては、天賦の才があるといえます。

 トランプにとっては、どんな「票」でも、自分に投じてくれる「票」をつかむことが、第一義的なことなのです。


【参考文献】

向谷匡史、「ヤクザの実戦心理術」、2003年、KKベストセラース


志村宗生:「ことばのクスリ—薬に代わるこころのケア—」
志村宗生:「性格と精神疾患—性格類型によるその診立てと治療—」


「性格」から見た水原一平さん-その「強運」と「失敗」-

「性格」から見たドナルド・トランプ(2)—彼は「ソシオパス」なのか—

    はじめに   前の投稿では 、ドナルド・トランプの「心性」( 行動や考え )が、ヤクザのそれと極めて類似していることについて 述べました。  今回は、そもそも、 「 ヤクザの心性」なるものは、どのようなものかについて明らかにし、そこからトランプの「性格」を読み解いていきた...

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