はじめに
ところで、なぜ、プーチンがこのような無謀とも思えるような行動にでたのか、不思議に感じる人は少なくないと思います。そこで、「性格類型」という観点から、プーチンの「性格」、つまり、彼の考え方や行動を読み解いてみたいと思います。
性格傾向の項目
1)尊大・気位が高い
2)自らの「内なる」価値観や理想があり、それにこだわりを示す
各項目の解説
今回のウクライナ侵攻は、プーチンがロシア帝国の復活を目指して起こした戦争という考えがあります。それで、彼が「皇帝気取り」になっているという見方もありますが、彼の尊大で、超然としたその態度は、彼本来のものと考えています。彼の「気位の高さ」というものは、元来のものです。
プーチンの主な関心は、彼の内側を向いています。ある意味、彼は「自分の世界の中で生きている」といってもいいかもしれません。今回の侵略においては、ロシア帝国の復活ということが彼の「内なる」理想であり、価値観のすべてだと思います。まわりの人たちやわれわれには、それを理解することは難しいかもしれませんが、彼は、それに強いこだわりを示しています。
その内なる理想に対して、彼は、著しいこだわりを示します。しかも、かなり「頑固」なこだわりです。だから、多少戦況が不利になるなどの「外的な要因」によって、彼の考えが変わることはないと思います。まわりがどう言おうと、ひたすら、内なる理想に向かって突き進むと考えられます。もし、彼の考えが変わるとしたら、プーチンが価値を置いているものが、今回の侵攻により損なわれる時かもしれません。
おなじく、彼がこだわっていることに対しては、エネルギッシュな活動を示します。たとえば、今回の侵攻後の、西欧側からの制裁やロシア包囲網に対して、つぎつぎと彼は「手」を打ってきています。ただ、その手のすべてが有効かといえば、そうとも言えないですが‥‥。
尊大な態度だけを見ていると、彼は「大胆」な性格の持ち主だと思いがちですが、意外にも、彼には「慎重」で「臆病」な側面があります。たとえば、この侵攻に対する計画にかなりの時間をかけており、侵攻前には、西欧諸国の出方を慎重にうかがっていたようにも見えます。また、報道によると、彼には新型コロナウイルスに感染することへの恐怖心があり、そのため、外国要人との会議では、かなりの距離をとって座っています。
これも気の小ささからくるものであるが、彼がこだわっているものごとで、それが自分の思うように進んでいない場合には、それが心配で人任せにはできず、すべてを自分の手でやろうとする傾向があります。
キーウ攻略が失敗に終わった後、プーチンが、直接、軍に対して細かい指示を出しているという話が情報筋から流れたことがあります。
外国の要人などに対しては、相手に反感を抱かせるような態度をとることはなく、いたって冷静な態度をとり続ける半面、身内といえる人たちや自分の部下など、自分が怒りを示しても「安全」なような人たちに対しては、些細なことに対しても、すぐに怒りを爆発させる傾向があります。
また、外国の首脳との会談の際、プーチンが「遅刻」することは、珍しいことではないとされています。ところが、2022年7月、イランで行われた、トルコ大統領のエルドアンとの会談の時、逆に、プーチンが、50秒間、待たされている画像が公開されています。待たされている時の、プーチンの居心地の悪そうな姿からも、彼の気の短さがうかがわれるのではないでしょうか。
今回の侵攻では、作戦の失敗や事前の情報収集の不備が明らかになっています。その理由として、プーチンには、「意外に見ているようで、人やものごとが見えていない」ような面があると考えられます。
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